HOMEへ

ブログ・お知らせ

経済力と高齢化問題

2021年8月10日

今日の日経新聞(朝刊)に興味深い記事がありました。
『人口と世界』という特集の4回目、今回は「富む前に迫る超高齢化」と題してアジアを中心とした各国の社会保障リスクについての記事であり、とても考えさせられました。

これまで日本の高齢化を考える際、また世界各国の状況と比較する際、単純に高齢化率・人数について注目することばかりでした。
また、その国の社会保障制度の仕組みについて、そのリスクを考えることばかりでした。
例えば、高齢者1人当たり何人の生産労働人口で支えなければいけないのか・・・とか、高齢化に伴って拡大する社会保障費の支出をカバーするための対策は何か・・・など。
もちろん大切な指標や情報ですが。

今日の新聞記事には1つの図表掲載されていました。
日本・中国・韓国の3ヶ国について、高齢社会到達の時期と国民1人当たり名目GDPの関係性を示した図です。
日本は2010年に高齢化率21%という超高齢社会を迎えましたが、その年の1人当たり名目GDPは4.45万ドル。
中国が超高齢社会を迎えるのは2035年とされており、その年の1人当たり名目GDPは2.81万ドル。
中国にも団塊の世代と呼ばれる世代があり、来年60歳を迎えるその世代は2億人の規模と書かれています。(スケールが違います!)
韓国も同じような課題を抱えており、決して日本だけが深刻なのではなく、むしろ日本は先代が築いて下さった経済力・国力のおかげで国のバランスを維持できているのだと改めて感じます。
アジアは、日本と比べて弱い経済力のまま高齢化に向き合うこととなります。

アジア以外について、高齢者政策で良い事例として取り上げられることの多いノルウェーについても記載がありました。
政府年金基金の2020年の運用益が約12.4兆円を超え、2桁の収益率を得たとの内容です。
ただ、手放しで褒めたたえる論調ではなく、異例の金融緩和政策が演出する株高に助けられた結果であり、年金の構造的な危機が覆い隠されていると厳しい指摘。
確かに、市場に大きな変化が生じ、それを政府がカバーできなければ、一気に危機が生じるリスクを孕んでいます。

今回の内容に限りませんが、我々は日ごろから目や耳にする問題、特にメディアが一方的に流す問題を鵜呑みにしがちです。
流す側の責任もありますが、特に仕事や生活で関わる分野に関しては、より俯瞰的・多角的な捉え方をしなければとの思いを強くしました。
簡単な問題ではありませんが、ビジネスで目指す方向性について考えさせられ、そして可能性を感じることができました。

他でもない自分ごと。
そして、自分の次の世代に影響することです。
やる気に火が付くような、そんな朝の時間を過ごした話でした。

↑PageTop